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有名ブランドはラボグロウンダイヤモンドを受け入れるのか?

有名ブランドはラボグロウンダイヤモンドを使っているのか?

日本では、ラボグロウンダイヤモンドのジュエリーは主にSNSやECサイトで販売するD2Cブランドが中心で、実店舗のある宝石店ではほとんど見かけません。仮に実店舗で扱っている場合でも、ブランドを分けて展開していることが一般的です。従来から天然ダイヤモンドを取り扱ってきた宝石店にとって、ラボグロウンダイヤモンドはまだ受け入れられていない存在です。

2024年2月24日時点で、カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、ティファニー、ショーメなどのハイジュエリーブランドは、公式にはラボグロウンダイヤモンドを採用していません。しかし、状況は急速に変化しています。ティファニーやブルガリなどを有するLVMHグループの投資ファンド『LVMHラグジュアリー・ベンチャーズ』は、イスラエルを拠点とするラボグロウンダイヤモンド生産者、LUSIXへ投資しました。また、プラダもラボグロウンダイヤモンドを使用した初のジュエリーコレクションを発表しました。今後、ラボグロウンダイヤモンドがハイジュエリーブランドで広く受け入れられるかどうかはまだ不透明ですが、技術革新と消費者の意識の変化により、その可能性は十分にあると言えるでしょう。ここで、プラダを例にラボグロウンダイヤモンドが使われた理由を見てみましょう。

なぜラボグロウンダイヤモンドがプラダで使われたのか?

2023年10月、イタリアのラグジュアリーファッションブランド「プラダ」は、ラボグロウンダイヤモンドを使用した初のジュエリーコレクションを発表しました。

プラダの三角形のロゴをモチーフにした「プラダカット」

2年前にカルティエからプラダに入社したブランド初のジュエリーディレクター、ティモシー・イワタはワシントン・ポストのインタビューで、「ラボグロウンダイヤモンドは、自然界で数十億年かかることを約3週間で再現します。さらに、ラボグロウンダイヤモンドの可用性は、ダイヤモンドのカットの可能性を広げることや、高級素材の概念の限界を押し広げることです。私たちは顧客のためにその素材の可能性を広げていきます」と語りました。

ラボグロウンダイヤモンドはエシカルというイメージで訴求されることが多いですが、プラダの場合はそれ以上に、天然ダイヤモンドでは難しかったことを実現するために使用されました。プラダの三角形のロゴをモチーフにした「プラダカット」のダイヤモンドを作ることができたのです。ラボグロウンダイヤモンドは、生産を正確にコントロールできるため、同じ品質のものを量産することが可能です。これにより、ラグジュアリーなジュエリーを安定して提供できるのです。

さらに、天然ダイヤモンドで制作した場合、100万ドル(約1億4688万円)を超える価格になりますが、ラボグロウンダイヤモンドを使用することで約24万7500ドル(約3635万2800円)という価格で販売できました。同じ見た目のジュエリーが約1/4の価格で市場に出せるようになったのです。

プラダがラボグロウンダイヤモンドを採用した理由は、単に安価であるだけでなく、「ラグジュアリー」なファッションを生み出す素材として適しているからです。希少性を除けば、ラボグロウンダイヤモンドも天然ダイヤモンドも物質的には同じものです。

しかし忘れてはならないことは、ジュエリーはファッションと違い、婚約や記念日など特別な背景があります。また、宝石は受け継ぐこともできます。 今後のラボグロウンダイヤモンドの位置づけは、その時代の人々の価値観に強く影響されるはずです

2024.07.07